進化する会話型AI、ChatGPTとGoogle Bard
カテゴリー:最新情報 / 2023年09月26日:投稿
注目を集める会話型AI
自然な会話が行える言語生成系AI(会話型AI)として、瞬く間に話題となったChatGPT。今やテレビやラジオからネットまで、毎日何かしらの情報が発信されていますね。私たち株式会社マツヤでも4月から検証と利用を進め、その使い所を探ってきました。
そして遅れること約4ヶ月、Googleからも言語生成系AIであるBardがリリースされました。5月の日本語対応を機に弊社でも検証と利用を開始し、文系である本稿担当も、それぞれのAIを業務に取り入れ、ユーザー目線での検証を行なってきました。結論から申し上げますと、この2つのAIはかなり異なった性質を持つようです。本稿では各AI自身の回答も交えつつ、ユーザー目線でその違いをお伝えします。
動作感と情報量
主に文書作業の実務ベースの印象に限られますが、ChatGPTはまず軽快な動作が印象的です。生成に時間がかかる場合も、先頭の文章から順に表示されてくるために、あまり待たされている印象はありません。
一方Bardは全てが生成されてから一気に表示されるため、少し気になる方もいらっしゃるかもしれません。その代わり、表示以外に2つの別回答を同時生成しており、瞬時に切り替えて比較検討が可能です。
次に情報量ですが、ChatGPTに「ChatGPTは常に学習しているのですか?それともいわゆるアップデートごとに階段状に進化しているのですか?」と問いかけると「私は静的なモデルであり、個別のユーザーとの対話から学習したり、リアルタイムで進化したりすることはありません。私は訓練データのカットオフ日(2021年9月)以降の情報を持っていません。」「アップデートは階段状に進化するものであり、新しいモデルバージョンがリリースされると、それに基づいて性能が向上します。」と回答(抜粋)してきます。これはChatGPTの公式見解と矛盾しません。これは回答の安定性や軽快な使い心地というChatGPTの美点につながっているとも考えられます。
実際にChatGPTに「2022年のノーベル物理学賞の受賞者を教えてください。」と質問すると、発表は毎年10月のため「申し訳ございませんが、私の知識は2021年9月までのものであり、2021年のノーベル物理学賞の受賞者情報は含まれていません。」として、公式サイトの参照やインターネット検索を行うよう促してきます。
これを「2020年のノーベル物理学賞の受賞者を教えてください。」とすれば、「2020年のノーベル物理学賞は、以下の3人の受賞者に授与されました。」として、3名の受賞者を答えてくれます。
ではBardはどうかといいますと…
常に進化を続けるGoogle Bard
同様の「Google Bardは常に学習しているのですか?それともいわゆるアップデートごとに階段状に進化しているのですか?」との問いにBardは「Google Bardは常に学習しています。Googleは、Web上で公開されているテキストとコードの膨大なデータセットを使用して、Bardをトレーニングしています。このデータセットは、常に更新されており、Bardは新しい情報を学習しています。」「Google Bardは、ユーザーからのフィードバックにも学習しています。ユーザーがGoogle Bardに質問したり、フィードバックを送信したりするたびに、Google Bardはそれを学習し、今後のパフォーマンスを向上させるために使用します。」と回答(複数から抜粋)してきます。これはGoogleの公式見解と矛盾しません。
このBardの運用は、アップデートごとに階段状に進化するChatGPTとの大きな違いです。Bardはネットの共有知やユーザーのフィードバックも取り込んで、常に進化しているというわけです。そのため2022年と2020年のノーベル物理学賞の受賞者について上記と全く同じ質問をBardに与えると、当然ながらどちらも同様に生成されます。別回答も含めて文脈もよく整っており、例えばニュース番組の構成原稿のドラフトとしても十分なクオリティを実現しています。
生成系AI特有の弱点と使いこなしのコツ
ただし生成系AIには特有の弱点が存在します。例えば画像生成系AIでは人の手の指の数がおかしかったり、あるいは両方右手だったりと、ディティールが矛盾する場合があります。これは人が絵を描く仕組みと画像生成の仕組みが根本的に異なることに起因すると言われています。
同じように言語生成系AIは、一見滑らかで自然な文章ではあってもその生成過程は人間の思考とは異なるため、結果として不正確な回答が生成されている場合があります。そのため今回の場合でも、受賞者の生年月日などディテールの不正確な回答が生成される場合があります。その対策としてBardには、生成された回答の裏取りを可能とする検索リンクを表示する機能があります。事実を含む文章作成にBardを使用するときは、必ずこのリンクでの裏取りを習慣とすることをお勧めします。さらにそういった間違いは遠慮なくサムダウンボタンを押し、コメント欄で指摘していきましょう。ユーザー自身が鍛えることができるこの参加性の高さも、またGoogle Bardの魅力のひとつだと思います。
まとめ
たとえ話になりますがChatGPTはいわば地図更新のないハンディナビのようなもので、限界を超えると「ここから先はご自分でどうぞ」となりますが、その分キビキビと動きます。Google Bardは常時ネット接続、アップデートも頻繁なインターネットナビで、どんな目的地でもとりあえず道案内を続けてくれますし、なんならコメントで文句も言えます。個人的にはBardの創造性と参加性は大きな魅力であり、ChatGPTとは発想が異なるサービスであると感じています。たとえば画像と言語のシームレスな生成を予感させるGoogleレンズとの連携機能が追加されるなど注目すべきアップデートが続いています。画像生成系AIのAdobe Fireflyとの連携もすでに予告されており、今後も様々なAIやサービスとの相互連携や機能の融合が進むのではと期待が膨らみます。
みなさんもぜひ、Google Bardに触れてみてください。きっと仕事の変革につながる自分だけの使い方が見つかると思います。
※本稿は2023年9月26日時点での情報及びそれぞれのAIの生成情報(ChatGPT:3.5及びアップデートプレビューon /Bard:2023年9月26日時点稼働版)を元に、本稿担当個人の感想を記事化しました。技術的な正確性は保証いたしかねますので、予めご了承ください。
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